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広がる「静かな退職」。特徴と問題点は?

こんにちは。

「静かな退職」

という言葉を、最近耳にします。

まだまだ聞きなれない言葉ですが、

実際に退職するわけでもないようです。

今回は、静かに浸透する新しい働き方(?)について

見てみましょう。

「退職」とはいっても、辞めるわけではない。何を指す言葉?

「静かな退職(Quiet Quitting)」とは、仕事へのやりがいや熱意を抱かず、必要最低限の仕事だけをこなす働き方を指す。

~引用記事より抜粋~

日本国内で「“静かな退職”をしている」と自覚する人は6割に。30代・40代・50代にも広がる“Z世代らしい”考え方 (manegy.com)

引用元:Yahoo!ニュース

「静かな退職」

という言葉は新しく、2022年にアメリカで拡散されて認知された言葉のようですね。

大雑把には、

実際に職場を退職するわけではないが、

最低限の仕事だけをこなす仕事のスタイル

ということのようです。

「静かな退職」という言葉は半数が知らないが、内容に心当たりがある人は6割。

引用記事でもアンケートを実施していますが、

用語としての認知度は、半数に満たない結果です。

「静かな退職、という言葉を知っていますか?」

と問われれば、半数が知らないけれど、

「自分が静かな退職と言われるような働き方をしていると思いますか」

と問われれば、6割がYesと答えた、ということですね。

用語としては知らなくても、実態については

共感・心当たりがあるというのが現状のようです。

仕事は「最低限」の範囲で。仕事をしているように見えればそれでよい?

“静かな退職” 当事者に聞く働かない理由「頑張っても給料が上がらない…」「仕事してる感をいかに出すか」 雇用者側の悩み「クビにはできない」“採用してはいけない人”を見抜くには(ABEMA TIMES) - Yahoo!ニュース

引用元:Yahoo!ニュース

がむしゃらに働くことが美徳とされた時代もありましたが、

現代は生活費を稼ぐことが仕事の目的、と

割り切る考え方も浸透しています。

引用記事にもあるように、

「仕事してる感をいかに出すか」

という部分に注力する人間は、

実際に多いのではないでしょうか。

筆者も現役の労働者ですが、身の回りにもその類型は存在します。

困ったことに、仕事をしない人々の影響力は大きく

筆者の周囲や、筆者自身にも、大きく影を落としていることは否めません。

努力をしても報われない、というのは、

仕事に限らず、人間のモチベーションを下げるうえで

もっとも大きな原因かもしれません。

頑張っても給料が上がらない、というのは典型的な例ですが、

そこで手を抜けばどのようなことになるか、想像に難くないはずです。

お神輿、家事の分担、バイトのシフト、なんでも構いませんが、

シェアしている負担から自分が手を離せば、

その労力は、他の誰かが担うことになるのです。

「だから何?」

という考えもあるでしょうし、きっと間違いではないのでしょう。

ですが、例えば社会全体が同様の考えに染まってしまえば、

それはもう組織の解体ではないでしょうか?

昨今の副業・フリーランス推進は、

そのひとつの表れのように思えます。

どのような影響がある?放置すれば労働環境を蝕む結果に。

「静かな退職」に気づき、適切に対処するためには │ パラれる|プロフェッショナル人事を経営の味方に (corner-inc.co.jp)

引用元:パラれる

静かな退職の蔓延を放置すると、どういう結果を招くのでしょうか?

↑↑↑~上記引用記事より抜粋~

  • 生産性低下
  • 職場環境の悪化
  • 人材流出

いずれも深刻で、全てがつながっています。

筆者の周囲でも、とお話しした通り、見聞きした実例を並べておきます。

  1. それは私の仕事ではない
  2. 同じ部署なんだから・・・
  3. やっても意味がない

何度か見聞きしたものをまとめると、多かったのはこんな感じです。

1.それは私の仕事ではない

年配の方は、わりと

「三遊間のゴロを誰が捕るか」

などと言ったりするようです。

どんな仕事でもグレーゾーンはあるもので、

部署Aから部署Bに業務内容を引き渡す際に、

「Aが届けに行く」のか、「Bが引き取りに行く」のか、などが分かりやすい例です。

ここで双方が、それは私の仕事ではない、と言い出せば、

停滞と軋轢が生まれます。

しかし、結局誰かがやるハメになるわけで、

ここから擦り付けあいのババ抜きがスタートします。

2.同じ部署なんだから・・・

例えば部署Aの誰かが、上記の例で業務を放棄したとします。

部署間の相談の結果、部署Aが届けに行く、というルールが定まれば、

イヤイヤではあっても部署Aで対処するしかありません。

しかし、担当社員が、それは私の仕事ではない、と主張すれば、

どうでしょうか(根拠のあるなしは関係ありません)。

日本の企業では、この程度ではクビにはできません。

結果、部署Aのほかの誰かが、代わって担当することになります。

その誰かが、たとえ元の担当よりも遥かに忙しい立場であっても、です。

結果、仕事を放り出した人間は定時で帰宅し、

投げつけられた人間は残業することになります。

そして、放り出した人間の給料が下がることはなく、

投げつけられた人間の給料が上がることもありません。

この環境では、放り出した人間の勝ち、といっていいのではないでしょうか。

3.やっても意味がない

仕事を放り出した当人が口にすることが多い言葉です。

彼ら曰く、意味がないから放り出した、ということになるのですが、

であれば、意味がない業務であることを打ち上げ、

改善につなげるのが最初の一歩のはずです。

ですが、それらのプロセスを一切経ずに、

ただ仕事をしない、という結果を投げつけてきます

残念でならないのは、どういうわけか新社会人や転職組よりも、

古参の年配社員に多く見られることでしょうか。

いずれもわかりやすい実例で、

生産性低下、職場環境の悪化、人材流出、

そりゃそうなるだろう、と言いたくなります。

この環境で嬉々として働ける人間は、

ここで挙げているのとは別の、

認知上の問題を抱えていることでしょう。

正解が出しづらい現代。それでも自分なりの最適解を。

ここ10年~20年ほどでの労働環境の変化は、

もはや明らかです。

終身雇用も崩壊が進行中、年金も信用できるのか・・・。

情報だけはあふれていますが、どれが正解かは誰もわからない。

技術や知識、インフラの恩恵などは過去最高に与えられていながら、

過去最高に混沌の中に放り込まれている時代かもしれません。

静かな退職、というひとつの働き方も、選択肢にあるのかもしれませんが、

その蔓延は、ウィルスのように社会を蝕むもののように思えます。

劇薬を投じるなら、日本企業での解雇のハードルを下げることでしょう。

ですがそれは簡単ではなく、時間も必要です。

特効薬はありません。

鶏が先か、卵が先か、という話にはなりますが、

所属している組織のパフォーマンスを下げる覚悟を決めるなら、

いずれ組織を離れる日が来る覚悟も決めておいた方がいいでしょう。

それではまた次回。

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