日本のニュース

日本人の本音?「さっさと退職」「歳をとって働いても報われない」

こんにちは。

FIRE(経済的自立・早期退職の意味)という言葉が浸透して久しくなりました。

最近ではこの言葉、一時期ほど頻繁には見かけなくなりましたが、

すでに一般的な用語として落ち着いた感があります。

反対に以前と比較して、定年まで会社で働きたい、

という声は聞こえてこないように思います。

日本人は、働くのがイヤになってしまったのでしょうか?

今回は、日本社会に広がった仕事に対する考えの変化を見てみましょう。

早期リタイアの夢。FIREは本当に可能なのか?

30%弱  「働くことが好きではない」~

20%前後 「家族や友人との時間や趣味などプライベートな生活を充実させたい」~

引用元:早期リタイア希望の20~30代男性、7年間で「倍増」 その背景は?(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

~引用記事より抜粋~

調査はパーソル総合研究所が全国15~69歳の

働く男女1万人を対象にした

「働く10000人の就業・成長定点調査」。

2017年から毎年2~3月に実施し、

働き方に関する意識などを尋ねている。

~引用ここまで~

この調査結果では、20~30代男性に、

特異的に早期リタイア願望を持つ層が増えている、

という結果が出ているようです。

個人的には、ある意味当然の結果のように思えます。

チャンスがある(と感じる)人が、チャンスをモノにしたいという単純な図。

FIREという考え方、あるいは生き方が紹介されて、

多くの人々が早期リタイア、自由な人生、といった夢を想像したことでしょう。

それ自体が悪いとは思いませんが、実現できるのはやはり、

一握りの恵まれた層だけではないでしょうか。

年齢だけを見ても、

例えば筆者は50代に入っています。

今回の調査でいえば、

「ここまでにリタイアしたい」

という年齢に、すでに到達してしまっています。

いま、退職したところで、これは早期退職というより、

ただの退職です。

次を決めずに飛び込めば、見るも無残な破滅を迎えるでしょう。

では、40代はどうでしょうか?

仮に40代になりたての40歳、41歳だったとしても、

あと10年程度しか残されていないのです。

10年たらずで、50歳以降の人生を支える準備ができますか?

できる人もいるでしょうし、実際にできている人もいるでしょう。

ですが、もう間に合わない人が多数を占めるのではないでしょうか。

必然、早期退職という夢を見られるのは、

20代、遅くても30代でなければなりません。

よく言われるたとえですが、

「バスケットゴールにシュートしようと思えるのは、

シュートして届く高さにゴールがある時だけ」

なのです。

ただし、届く高さにゴールがあったとしても、

入るかどうかは、また別の問題です。

自分の現在の位置、身に付けた・これから身に付ける技量、周囲の環境、

外したらどうなるのか・・・

さまざまな条件を考慮して、計画的に動かなければ、

後悔することになりかねません。

引用記事中のコメントにもありましたが、

早く仕事を辞めたい、という想いは、きっと昔からあったはずなのです。

しかし以前は一般人の取れる選択肢は数少なく、

現代のようにいち個人の立場で、

  • 投資
  • 副業
  • 起業
  • ネットによる人脈の開拓

といった多岐にわたる可能性はありませんでした。

誰だって、家族との時間も自分の時間も大事にしたい。

旅行や趣味、好きなモノを楽しみたいに決まっています。

でも、そんなことはできなかったのです。

それができる(かもしれない)時代を迎えたのが現在です。

しかしその現在は、その促進によって利益を得る層(転職ビジネスその他)が、

商業的な理由をメインに「FIRE」という生き方を喧伝した結果でもあるのです。

「昇進したら責任まみれ」「俺はこのへんで打ち止め。上はもう、いいかな」

早く仕事を辞めたいと思う、もうひとつの理由になりえるのが、

昇進した結果に魅力を感じられない、ということです。

~地位が上がると仕事の範囲も拡がり、責任も増大する~

~これを「昇進うつ」と称し、喜ばしいはずの昇進で発症する逆説的なうつ~

引用元:「中高年の会社員」を待ち受ける「昇進うつ」と「上昇停止症候群」という「2つの危機」(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース

引用記事では、

「昇進うつ」

「上昇停止症候群」

というふたつの言葉が紹介されています。

要約すると、

  • 昇進すれば、責任範囲も拡大する。仮にトップまで昇りつめても、今度はトップの責任がのしかかる。昇進って?
  • 自分の限界が見えて、モチベが下がる。また、頑張ったのに報酬がイマイチで、またモチベが下がる。昇進って?

というような心理状態に陥る、ということです。

これも、よくわかってしまう心理です。

例えば職場の上司を見れば、それは自分の数年後、

あるいは数十年後の姿の、よく似たスケッチです。

上から下から挟まれて気苦労が絶えず、

その上大して給料アップも見込めない・・・。

これで

「よし、頑張ろう!」

と思えというのは、無理ゲーですね。

誰も、選択の結果に責任はとってくれない。自己責任です。慎重に!

ここまでを見ると、

「いまの会社は終わってる。よし、転職だ!」

by20~30代男性

という結論になってしまいそうです。

しかし、ここで絶対に必要なのは、

慎重さ

であると考えます。

たしかに、今の場所に勤めていても、素晴らしい未来は訪れないかもしれない。

転職・起業することで、輝かしい明日が開けるかもしれない。

それを否定することはできませんが、

より劣悪な環境に追い込まれる可能性についても、

同様に考えておかなければなりません。

一度辞職してしまえば、もう戻れないことがほとんどです。

失敗だったからリセット、というわけにはいきません。

大きな決断をするときには、勢いが必要なのは確かです。

がむしゃらで、無鉄砲な一面が必要でもあるでしょう。

ただし、無計画に飛び込むだけでもいけません。

自身の年齢、養うべき家族の有無、貯金の多寡、持ち家か借家か。

判断基準はたくさんあります。答えもそれぞれです。

「今は転職の時代。あなたも新しい扉へ!」

といった言葉で背中を押す、あるいは煽るのが仕事の人もいます。

彼らは、あなたの転職が大成功だったからといって、

追加報酬を寄越せとは言いません。

反対に、あなたの転職が大失敗だったからといって、

一円も補償はしてくれません。

転職・退職も、ひとつの大切な選択肢です。

しかしギャンブルのように、勢いだけで身を投じるものではありません。

筆者も以前、ブラック企業に勤めていた身ですから、

転職が時に非常に有益であることは、重々理解しているつもりです。

そのうえで、冷静さだけは失わずに、理性的な判断が必要だと感じています。

政府までもが転職・副業を後押ししているかに見える現代、

それでも全て、自己責任です。

重大な決断には、相応の時間と根拠を用意したいものですね。

それではまた次回。

→関連記事

「職場を腐らせる人たち」が共感を呼ぶ時代。なぜ、彼らは・・・。

広がる「静かな退職」。特徴と問題点は?

新卒の退職が止まらない!今、何が起きている?

退職代行を使うとどうなるのか。その後の人生への影響とは

-日本のニュース