引用元:TVアニメ『逃げ上手の若君』公式X
こんにちは。
「逃げ上手の若君」第4話、視聴しました。
新天地、諏訪大社に身を預けた時行。
北条の残党を捨ておけない足利尊氏勢力は、
北条郎党の筆頭たる諏訪にも捜索の手を伸ばします。
諏訪に狙いを定めるのは現代にまで名を遺す武人。
今回は、
「逃げ上手の若君」
「第4話 貞宗登場!」
を見てみましょう。
弓の名手・小笠原貞宗、時行らと諏訪大社を標的に。
引用元:TVアニメ『逃げ上手の若君』公式X
キャラ造形に表れる異常性と突出した弓の技量。
ここで登場した信濃守護・小笠原 貞宗(おがさわら さだむね)は、
現代にまで名を遺す武人です。
弓術、馬術、兵法、果ては茶道にまで存在する
「小笠原流」
の一部の開祖とされています。
今作でまず気になるのは、そのキャラ造形です。
眼窩からこぼれそうな眼球と、その常軌を逸した動き。
それに伴っての常人をはるかに凌ぐ視力と、
単なる視力ではなしえない、観察力を用いての現状把握。
そして世上の評判に見劣りしない、弓馬の技量。
まさに異能の持ち主です。

とはいえ、諏訪という一大勢力に正面からしかけるわけにはいかない。
犬追物(いぬおうもの:流鏑馬に似た、犬を射る鍛錬)
というイベントを利用して揺さぶりをかけ、
諏訪に隠れる北条をいぶり出そうという動きには、
貞宗の搦め手も使える一面を感じます。
同時に、挑発・陽動・示威といった目的のために
無関係な巫女をキズつけるなど、
その内面は武人として高みにあるとは思えない
描かれ方をしています。
しかしそんな貞宗の弓術について、
時行は憧れにも似た感想を漏らします。
たとえ人間的に好きになれない人物であっても、
優れた才や技量は素直に賞賛する時行の性質が、
貞宗の内面と技量のギャップを通してよく見えるエピソードです。
異能の敵手と「戦なき戦の駆け引き」。
引用元:アニプレックス チャンネル Youtube
時行の武人としての成長に必要な「邪道」。見出された「よき師」とは。
時行は、逃げ上手という特性において、天性の才を備えています。
しかし、逃げるだけでは勝てない。
通常のいくさのための技術はからっきしの時行ですが、
弓には適性があるようです。
この先、幾多の戦を経て勢力を拡大させるためには、
時行の長所を生かしたスタイルを確立する必要があります。
現段階で頼重が想定しているのは、
「逃げながら戦う」
という、いわば退却戦の亜種のような戦法でしょうか。

しかしそのような
「邪道」
に教科書などないし、先達もいません。
頼重はここで、与えられた状況を最大限に利用します。
必要なものは・・・
- 逃げ上手の特性を活かす場
- 時行が比較的得意とする「弓」を使う内容
- 成長を促すだけの敵手
今回の犬追物、そのすべてが揃っています。
それにしても、時行の資質に全幅の信頼がなければできない、
命がけの博打ですね。
戦なき戦。展開されるのは頼重vs貞宗。
引用元:TVアニメ『逃げ上手の若君』公式X
貞宗が正面切って諏訪を攻撃できないのと同様、
頼重もまた、貞宗の意図が見え透いていたところで、
突っぱねることができません。
貞宗としては衆目の前で言質を取り、当然勝ちを収めて、諏訪を没落に追い込む。
頼重としては時行の資質を利用しての勝ち筋があり、かつ時行の成長を促す狙いもある。
目の前の勝敗に紐づけられた思惑が交錯します。
自他ともに認める逃げ上手。しかし、大事なところでは決して逃げない。
引用元:TVアニメ『逃げ上手の若君』公式X
貞宗との戦いの是非、頼重は最後の決断を時行に委ねます。
しかしこの時、時行が戦いを避ける選択をすることを、
頼重が考えているようには見えません。
「逃げ上手の幼い主君が、この戦いからは逃げない」
ことを確信していたのでしょう。
恐怖よりも高揚。追い詰められてなお躍動する英雄の魂。
引用元:TVアニメ『逃げ上手の若君』公式X
犬追物は、はるかに格上の貞宗優位で進行します。
しかし頼重による心理的揺さぶりと時行の天性により、
勝敗は最後までわかりません。
逃げ上手の時行とはいえ、天下に聞こえる貞宗の技量の前に、
すべての弓をかわし切ることはできません。
矢じりが覆われ、殺傷力のない矢ではありますが、
当たればケガはしますし、何より実際の戦場であったなら
命は奪われます。
その認識が圧倒的な説得力を持って時行を襲います。
並の人間であれば恐怖で身がすくみ、動けなくなるところです。
そこで高揚し、楽しさすら覚える時行。
英雄とは規格外の存在で、ある種の異常者なのかもしれません。
そこかしこに現れる、メタ視点。映える現代的演出。
引用元:TVアニメ『逃げ上手の若君』公式X
現代の視聴者は、設定や各キャラクターの役割など、
作劇という側面についても基礎知識を持っています。
それを前提にしたギャグパートに、切れ味を感じます。
今回、頼重が自らの未來視に怯える姿が、
ギャグパートとして描かれています。
そこで彼が何に怯えているのか、には恐れ入りました。
視聴者への状況説明役など、作品を俯瞰する立場も、
小ネタとして利用されています。
亡国の少年の復讐譚、という重い内容であっても、
全体に小さな笑いが散りばめられていて、
視聴後にイヤな後味を引きずらない仕上がりはありがたいところです。
今回、ある種の戦闘描写のクライマックスでの来週待ちですね。
それではまた次回。