引用元:TVアニメ『逃げ上手の若君』公式X
こんにちは。
「逃げ上手の若君」第2話、視聴しました。
かなり重い導入で、平和な世が終わりを告げ、
乱世が始まったことがイヤでも思い知らされます。
少年でなくとも押しつぶされて当然の状況ですが、
まだ希望の糸が全て断たれたわけではありません。
今回は、
「逃げ上手の若君」
「第2話 やさしいおじさん」
を見てみましょう。
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身内からの度重なる裏切り。大人の我欲に翻弄される時行。
引用元:TVアニメ『逃げ上手の若君』公式X
伯父・五大院宗繁の「行動」から幕を開ける第2話。
冒頭、伯父の五大院宗繁(ごだいいん むねしげ)の
派手な動きからエピソードは展開します。
この人物、歴史好きの間では有名な人物だそうです。
彼についての説明には激しくTV的でメタい表現を使用していましたが、
それほど違和感なく受け入れさせるのは、作り手の力量ですね。
第1話に引き続き、笑顔の裏にある悪意の表現は、
非常にグロく、イヤな説得力がありました。
今まで自分を守ってくれた人々が、掌を返して敵に回る、という
悪夢のような現実と、それを前にして何もできない自分。
歯がゆさ、無力感、絶望感がわかりやすく描かれます。
「裏返った双六の盤面」。世界のルールが一瞬で変わる時、対応できる者とは。
引用元:TVアニメ『逃げ上手の若君』公式X
「裏返った双六の盤面に、瞬時に適応できた者しか生き残れない」
作中での秀逸な表現です。
裏切り者の姿はもはや人外といってよい、
醜悪でおぞましい見た目で描かれます。
もちろんこれは内面の表現であって、
本当に妖怪や魔物になったわけではありません。
彼らがある種の「狂気」に身を委ねていることは間違いありませんが、
決して完全に「正気」を失っているわけでもありません。
むしろ、正気でなければなしえない精緻さで、
自らの居場所、立ち回り方、得られる結果を計算しています。
極端な話、足利尊氏たちの幕府転覆が起こらなければ、
彼ら裏切り者たちは、以前のとおり平和な鎌倉で、
時行たちに仕えつづけたに違いないのです。
彼らにしてみれば、
「風向きが変わったから帆の向きを変えた」
だけの話なのでしょう。
支配層を始めとする世の中のルールが急激に変わった時、多くの人々は、
程度の差こそあれ、「次の体制」に合わせた進路変更を余儀なくされます。
それがあまりにあからさまで、多くの流血を伴ったとき、
人々の共感を得ることはできないでしょうが。
奈落の底にも、光明。底の見えない頼重、「命がけの鬼ごっこ」がいま始まる。
引用元:TVアニメ『逃げ上手の若君』公式X
救いのない展開にわずかな希望。ブレない頼重、信頼できる仲間の登場。
冒頭から重いスタートを切った第2話「やさしいおじさん」、
とにかく重苦しい展開の中、頼重のコミカルな奇行が空気を軽くしてくれます。
第1話から語られている頼重の神力、
「未来を拾える」
能力について詳細は語られていませんが、
ギャグパートでは、結構な未来ネタが散りばめられていて、
笑いを誘います。
加えて頼重のゆるぎない風情が、安心感を与えてくれます。
そして頼重のもとにある、時行と同世代の仲間たち。
引用元:TVアニメ『逃げ上手の若君』公式X
まだ幼いと言ってよいが頼もしい彼らに、
「裏切り」
の文字はありえないと思わせてくれます。
心が「怪物」と化した者すら怯えさせる、時行という「怪物」。
引用元:TVアニメ『逃げ上手の若君』公式X
保身のためにある種の狂気に囚われた裏切り者ですら、
時行の持つ「英雄の資質」「才能」という怪物性に恐れをなします。
平和な世では決して開花することがなかったはずの巨大な才能が、
諏訪頼重という導き手を得て、乱世に羽ばたき始める。
戦場を舞台に、命がけの鬼ごっこが、いま始まります。
それではまた次回。
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